2022/02/13
【館長ブログ】絵具のしたたり(01)
幸福の秘訣
「幸福の秘訣は、自分がやりたいことをやるのではなく、自分がやるべきことを好きになることだ」
これはイギリスの童話作家、ジェームス・バリーの言葉です。
もしかするとピーターパンの作者と言った方がわかりやすいかもしれません。
家事にしろ、子育てにしろ。むしろ仕事などにおいても、私たちの日常の生活のほとんどは「やるべきこと」がいつもついて回ります。
「やりたいこと」ばかりやっていると、本人はよくても周りの人間からするとえてして甚だ迷惑な人物とも受け取られかねません。
「自分がやるべきことを好きになる」という言葉は実生活においても、より良い人生を送るための大切なキーワードなのかもしれません。
そして、それを実践されてきたのが今回の光臨アートギャラリー特別展の故・一峰大二先生でした。
一峰先生は日々、実直に真摯な姿勢で一切の手抜きをせず、最後の日まで机に向かい続けられたお姿はまさにジェームス・バリーの言葉通りでした。
クリエィターが生み出す作品はその作者の鏡です。
作者の生き様や考え方、歩んできた歴史が全てそこに映し出されます。
絶え間ない努力を支える一因はその「やるべきこと」が好きでたまらない、だから描き続けられる、描き続けていたい。といったことからそうしたモチベーションに繋がっていくのだと思います。
しかしながら、昨今のコロナ事情を鑑みると、以前のように気軽に外出してギャラリーを覗いたり、美術館に立ち寄ることが難しくなってきました。
そうした、世の変転に私たちは新しい生活を模索し始めていることもまた事実です。
どうすれば、クリエィターたちが苦心讃嘆し、まさに血をにじませるような努力を積み重ねて描いてきた珠玉の作品を後世に残していくことが出来るのか。
ファンの方々をはじめ、多くの皆様に気軽に見ていただけるようになるのか。
そんな自問自答の果てに私たちはインターネットという国境のない自由空間でのアートギャラリーという形を選びました。
夢は大英博物館にも負けないほどの広さと展示数。
途方もない夢ではありますが、「やるべきことが好き」ならば、きっといつか夢は叶うと信じます。
それがこの仕事を続けていける大きなヒントならば。
真摯に、実直に。一峰先生をならって少しづつ歩んでいけたらと思います。
光臨アートギャラリー初代館長
佐佐木あつし