一峰先生へのメッセージ
里中満智子
マンガ家 1948年1月24日大阪市生まれ
1964年、高校在学時に「ピアの肖像」で第1回講談社新人漫画賞を受賞。
現在までに500タイトル以上の作品を描き数々の賞を受賞する。
代表作に「アリエスの乙女たち」「あかね雲」「海のオーロラ」「あすなろ坂」「天上の虹」「女帝の手記」「古事記」など多数。
役職
大阪芸術大学教授キャラクター造形学科学科長
公益社団法人日本漫画家協会理事長
一般社団法人マンガジャパン代表理事
NPOアジアマンガサミット運営本部代表など兼任している役職は18以上にのぼる。
一峰大二先生へ
先生が遠い世界へ行かれたなんてまだ信じられません。
思い出の中の先生はいつも笑顔で、いくら思い出そうとしても笑顔以外の先生は記憶にないのです。
「黒い秘密兵器」や「ウルトラマンシリーズ」「怪傑ライオン丸」「電人アロー」などの超ヒット作で、押しも押されもせぬビッグだったのに、誰に対しても柔らかく丁寧に接して下さる先生の笑顔は、周りにいる人全てをあたたかく包んでくれました。
80歳を過ぎてから「電人アローの新作を描く」とおっしゃってコミケに出品なさる活力と意欲に私たち後輩はみな刺激を受けました。
先生が漫画の世界にいてくださったこと、後輩にとって幸運でした。
ありがとうございました。
マンガ家 里中 満智子
藤田 三保子
NHK朝のテレビ小説「鳩子の海」でデビュー。
TBS「Gメン'75」響圭子役。
膠原病による闘病生活から芸能生活へ復帰し、現在は舞台・TVだけでなく、シャンソン歌手・画家・俳人・朗読講師など、活動は多岐に渡る。
一峰大二さんと、お初にお目にかかったのはもう二十年くらい前のことです。
当時、異業種交流のような会「仮面の会」というのがあり、「ペン」で食べている人たちの集まり、ということでした。漫画家・イラストレーター・編集者・翻訳家などが毎月1回集まって、ただただ飲み明かす会、でしたが、私は、下戸のくせにとにかく面白くて、大阪からも直で駆け付けたりしていました。
何がそんなに楽しかったのか、私は特に漫画家さんやイラストレーターさんたちに「可愛がって」頂き(笑)、いろんなお話をして頂きましたが、やはり、漫画家さんたちの独特の感性、斜めからの視線、おしゃれな比喩、ユーモアのセンス、が面白く、毎回毎回楽しみにしていました。
そこで頂いた、個展やグループ展のDMで、いろんな展覧会にお邪魔する内にご高名な漫画家さんたちや、イラストレーターさんたちと顔なじみになり、どんどん知人の輪が拡がりました。でも、私は当時「絵」を描いてはおらず、失礼ながらお知り合いになる漫画家さんたちが、どんなご功績があったのかも、殆ど知らずに交流を続けておりました。ある展覧会で、おなじみの「顔」を見つけると親しげに近寄ります。すると、温かく楽し気に、旧友に接するように迎えてくださいます。
そして、いつものように、ちょいと棘はあるけれどユーモアに満ちた冗談で笑わせ、歓迎してくださいます。
そんな頃に、一峰さんにお会いしました。本当ににこやかな穏やかな笑顔で、いつも迎えてくださいます。
私は前述のように、一峰大二さんのことを詳しくは知らないままでしたがそんな私を、いつもよく来たね、と奥様と共ににこやかに迎えてくださいます。
ご自分のことは、やはりあまり仰らないのですね。周りの方々が、「この先生はね」と言って教えてくださいます。それで、ようやく知るという有様でしたが、そんな私に冷たい目を向けることもなく、失礼ながら謙虚で大らかな笑みで、迎えて頂きました。
この度、ご逝去の報に接し、残念でなりません。改めて、一峰さんの漫画家としての偉業を見返しますと共に、そのお人柄が、僭越ながら、流石の筆使いや、線の温かさに現れているように感じ、迎えてくださった笑顔を思い起こします。ありがとうございました。心より、ご冥福をお祈り申し上げます。
俳優 藤田 三保子